Semrushを使ってキーワードを調査する方法
https://www.semrush.com/blog/keyword-research-with-semrush-keyword-magic/
SemrushのKeyword Magic Toolは、キーワード調査に求められるあらゆる機能を一つにまとめたユニークなツールです。軸となるキーワード一つを調べるだけで、その周辺にある様々なキーワードを収集することができます。現在、SEMrushでは合計で118か国、200億キーワードのデータベースを保有しており、日々拡大を続けています。
ただ、多くのツールがそうであるように、Keyword Magic Toolを使いこなすためには適切なガイドが必要です。そこで、このガイドでは、キーワード調査が欠かせない2つの事例を取り上げ、コンテンツ制作を成功に導く方法をご紹介します。
1. 記事を構成するために最適なキーワードを探す
ロンドンの居心地の良いパブで、Googleに上位表示させるキーワードについて考えに耽り、筆を走らせているディケンズを想像してみてください。
デジタルマーケティングにおけるライティングに必要なのは、インスピレーションだけではありません。最も重要なことは戦略的な思考であり、ディケンズのような文学とは対局に位置するものです。つまり、ターゲットとするユーザーに届くコンテンツの作り方が大事で、目的から逆算したSEOが必要とされます。(もしSEOについての知識に不安がある場合は、こちらの記事を参照ください)
例えば、私の例をお話ししましょう。私は長い間、犬の尻尾の動きについての記事を書きたいと思っていました。このアイディアが閃いたのは、私が飼っている犬が狂ったように自分の尻尾を追いかけ、ガジガジしているのを見たときでした(一体、なんでこんな訳の分からないことをしているんだろう?と思ったのです)。
そこで私は、他の人も同じようなことが気になっているのではないか?と思い、 Keyword Magic Toolで調べてみることにしました。すると、このような犬の不思議な行動に興味を持っている飼い主が、私以外にもたくさんいることが分かりました。
タイトルに入れるキーワードの重要性
以下のキャプチャでは、分かりやすくキーワードのグループをボリューム順に並べ替えてみました (よろしければ、実際にKeyword Magic Toolの左にあるメニューを見てみてください)。この記事では、検索結果の上位を目指すことができる、現実的でボリュームの大きいキーワードをターゲットにしたいと思います。その意味で、まずはボリューム順にソートしてみるのがオススメです。
記事では、タイトル、見出し、段落中に使われるキーワードはボリューム順 (大 → 小) になっている必要があります。キーワード戦略としては、最もボリュームが大きいキーワードをタイトルに使用し、平均的なボリュームのキーワードは見出しに、ボリュームが少ないキーワードは段落の中で使用します。キーワードのリストを眺めながら、もし気に入ったキーワードがあれば、キーワードの隣にある「+」ボタンをクリックします。すると、キーワードがKeyword Managerに格納されます。(Keyword Managerはキーワードについてより詳細な調査ができる格納庫のようなツールです)
もしキーワード調査で見落としたものがあれば、いつでも過去の検索履歴を確認して再チェックができるようになっています。
Keyword Managerでは「指標をアップデート」ボタンをクリックすると、データを更新することができます。検索ボリュームやKeyword Difficulty (KD: キーワードの難易度)、クリックポテンシャル、上位の競合を比較しながらキーワードを選定していきます。
ここから更にキーワードを絞り込んでいき、最終的に2 - 3個の重要なキーワードだけを残します。先ほどの犬の尻尾の例で考えると、尻尾に関する動詞には「食べる」「噛みつく」「追う」「咀嚼する」「舐める」等があります。これらを精査すると、「追う」「咀嚼する」「噛みつく」の3つが最も大きなボリュームとなっています (約1,000 ~ 3,000)。したがってこれらをタイトルに入れるようにします。
追う、噛みつく、咀嚼する - すぐわかる犬の尻尾の行動ガイド
なぜこのタイトルが 良いかというと、
- 簡潔である (70字未満で、8 ~ 12単語以下)
- 実践できる (読み手を答えに導きます)
- 検索エンジンにもユーザーにも最適化されている
キーワードを見出しに使用する
h1 見出しタグ
h1はタイトルと可能な限り近いものにします。したがって、titleタグと同じか似たような表現にします。
では、titleタグとh1タグの違いは何でしょうか?titleは検索結果 (SERPs: Search Engine Result Pages) で表示されるタイトル、h1はページを開いたときに目にするタイトルです。”1記事につき1つのh1”の原則を覚えておきましょう。
h2 見出しタグ
犬の尻尾の例を続けます。私たちは犬の尻尾について、少なくとも5つの行動を知っています。「追う」「噛みつく」「咀嚼する」「舐める」「かじる」「食べる」等です。そして、まさにこれらがh2の大まかな構成になります。
もし時間があれば、ブラウザの新しいタブを開いて、これらのキーワードをそれぞれ検索してみてください。
フィルターを活用してキーワードを探索する
- キーワードの一致、除外を指定できます。
- キーワードやフレーズの単語数を指定できます。
- 気になるボリュームのレンジでフィルタが可能です。
キーワードを段落に使用する
どのキーワードがベストか判断するためには、Keyword Managerに集めたキーワードをレビューし、見出しやタイトルに使用したキーワードよりも検索ボリュームが少ないキーワードに注目しましょう。ちなみに、タイトルに使用したキーワードを段落内で使用しても問題ありませんが、他の表現を使ったり他の単語と組み合わせたりしてアレンジすると良いです。
コンテンツ制作に取りかかる前に、知っておきたいこと
- コンテンツを制作する際にはクローラーボットに対して注意を払うことはもちろんですが、何よりもユーザー (読み手) を第一に考えます。
- コンテンツが簡単に流し読みできるように配慮してください。多くのユーザーは本文を読む前に、まず見出しやコンテンツをざっと見て役に立つかどうかを判断します。その上で、気になったセクションだけを読むユーザーもいます。したがって、具体的な見出しを用意し、箇条書きやリストを活用して短い段落を心がけましょう。こうすることで、ユーザーは関心のあるトピックスを簡単に見つけることができます。
- 最後に、読む価値のある、有意義なコンテンツを作りましょう。”コンテンツを作るためのコンテンツ”は意味がありません。
ディスクリプションを最適化する
もう1つ、キーワードの最適化が重要な場所があります。ディスクリプションタグ (meta descriptionタグ) です。記事の中でもユーザーが最初に目にする要素が、検索結果に表示される記事の要約 (サマリ) です (これが、ディスクリプションの内容です)。もしディスクリプションの内容が検索キーワード (クエリ) と関連していれば、おそらくクリックして記事を読んでくれるでしょう。
ただし、くれぐれも、キーワードを過剰に使いすぎないように気を付けてください。一方で、ターゲットとする読者が関心のありそうなキーワードはきちんと盛り込むようにしてください。
2. 強調スニペットを獲得する
この章では、検索結果でより多くのユーザーから注目を集め、目立つための方法をお伝えします。
検索結果で目立つ強調スニペット (※) にはいくつかの種類があります。例えば、リスト (順序有り・無し問わず)、短い文章 (たいていは回答の形になる)、見出し、箇条書き、表などです。
※ 強調スニペット: ユーザーが質問等の形で検索を行った時に検索結果に表示される、簡潔な回答やサマリ。検索結果の上部に強調して表示されるため、ユーザーの目につきやすい。
強調スニペットのタイプを元に考えると、先ほどの犬の行動についての記事の例では、少なくとも3つの方法で強調スニペットに表示することができます。
リスト
ここで1つ、注意すべき点があります。もし検索結果でリストとして表示させたいコンテンツがあれば、適切にマークアップする必要があります (順序がある場合はolタグを、順序が無い場合はulタグを使用する)。基本的なことではありますが、コンテンツ制作者にとっては必須の知識です。
もし犬が尻尾を振るときの位置 (高さ、向き) について書くとすれば、このようなリストが考えられるでしょう。
・箇条書きの場合、ulタグでマークアップする。
<ul> <li>水平に伸びた尻尾: 注意・警戒を表します</li> <li>垂直に伸びた尻尾: 警告を知らせています</li> </ul>
- 水平に伸びた尻尾: 注意・警戒を表します
- 垂直に伸びた尻尾: 警告を知らせています
<ol> <li>水平に伸びた尻尾: 注意・警戒を表します</li> <li>垂直に伸びた尻尾: 警告を知らせています</li> </ol>
- 水平に伸びた尻尾: 注意・警戒を表します
- 垂直に伸びた尻尾: 警告を発しています
見出し
もし見出しからリストが抽出されるようにするには、見出しの構造が極めてロジカルに整理されている必要があります。例えば、「犬の尻尾の意味は?」というような質問を検索する場合を考えてみましょう。
この質問に対する回答としては、以下のような見出しの構成が考えられます。
<h2>水平に伸びた尻尾: 注意・警戒を表します</h2>
本文
<h2>垂直に伸びた尻尾: 警告を発しています</h2>
本文
<h2>尻尾をからだの下にくるむ: 服従を示します</h2>
本文
<h2>尻尾を振る: 興奮や威嚇を表します</h2>
本文
質問と回答
ユーザーの疑問に端的に答えを提示したい場合は、記事の最初の段落に記載しておきます。ただ、必ずしもその部分が強調スニペットに表示されるわけではなく、Googleがコンテンツの適切な箇所を記事中からかいつまんで表示するケースもあります。
比較的シンプルな構成のため、もしリストを用意するのに苦労する場合は、質問と回答をセットにした段落を作ると良いでしょう。質問と回答のセットを作るためには、SemrushのKeyword Magic Toolを活用します。
最も頻繁に質問されているクエリを見つける
仮に、「なぜ犬は尻尾を追うのか?」という質問に対して強調スニペットに表示させたいとしましょう。しかし考えてみると、これは実際にユーザーが検索するクエリとは違っています。例えば、「犬 尻尾 意味」という表現だったり、「犬 ペット 尻尾」のように検索するのではないでしょうか。
こういった実際の検索ワードを調べるためには、Keyword Magic Toolを利用します。「犬」「尻尾」「追う」等の軸となるキーワードで検索して、「質問」ボタンをクリックしてみてください。すると、質問形式のクエリが表示されます。
(※日本語では上手く結果が出てこない場合があります。ご了承ください。)
キャプチャのように、飼い主の最も多い質問は「なぜ犬は尻尾を振るのか」で検索ボリュームは110となっています。実際にコンテンツを作る前に、このクエリに対して上位の競合コンテンツを調べてみましょう。キーワードの隣にある「+」ボタンをクリックして、Keyword Managerに追加します。つぎに、Keyword Managerに移動して「指標をアップデート」をクリックしたあと、「上位競合」をクリックします。
これらの競合を見比べて、もし勝てそうであれば、早速コンテンツにとりかかりましょう。
おなじことが他のキーワードに対しても言えます。キーワードを検索ボリュームで判断してはいけません。もしそのキーワードをターゲットとしたときに、どれくらいの競合性があるかを検討し、そこから着手していきましょう。もしコンテンツマーケティングをはじめたばかりであれば、まずはロングテールなキーワードから手を付けても良いかもしれません。
キーワードごとに強調スニペットを調べる
- どのサイトが強調スニペットを獲得しているか
- 実際の質問と回答は何か
- どのキーワードを使用しているか
- 答えの長さはどれくらいか
- 競合サイトは docdog.jp である
- 質問内容は「犬が『しっぽを振る』のはどうして?」
- 質問への回答は記事冒頭のパラグラフから引用されています。これはページを実際に見て判断します。
- 使われているキーワードには「しっぽ」「振る」「理由」「感情」などです。
- 文字数は140字程度で、この長さをターゲットにします。
実際にコンテンツを作る際には、このように分析したデータを利用しましょう。
また、検索結果の「関連する検索キーワード」や検索のサジェストも参考にしましょう。ここから、ユーザーがどのように質問を行っているか、ヒントを得ることができます。
キーワードを上手く選定しコンテンツを作ればきっと強調スニペットを獲得できるでしょう (引き寄せの法則が働かないと言った人はいません)。しかし、どのキーワードを使うか最終判断を下す前に、Keyword Managerで最新のキーワードの難易度や競合他社を調べておきましょう。
最高なキーワードは、「高ボリューム」「低KD (キーワードの難易度)」「ロングテール」を満たすものです。もし競合に勝つことが難しいと思われる場合は、中くらいのボリュームのキーワードを組み合わせる戦略に切り替えましょう。
画像をキーワードに最適化する
強調スニペットに表示される画像はGoogleがランダムに選択することがあります。これを避けるためには、ページ内の画像を最適化するようにしましょう。最適化とは、画像のalt属性を設定する、人間にとって分かりやすい画像名を付ける (hogehoge.jpg より dog.jpg の方が良いです)、といったことです。そうしないと、以下の様なことが起こり得ます (画像が別のドメインから引用されている)。
検索広告 (リスティング広告) のためのKeyword Magic Tool活用法
高品質で最適化されたコンテンツをつくることは、Keyword Magic Toolの1つの応用例に過ぎません。もし予算があれば、検索広告 (リスティング広告) のキャンペーン設計に活用することもできます。一般的に、SEOの成果が実り始めるまでには時間がかかります。その点、リスティング広告はごく短い時間でトラフィックを増やすことができます。
もしこの記事をお読みいただいているあなたがリスティング広告の専門家で、何かのリリース等に向けてキャンペーンを立ち上げようとしている場合は、Keyword Magic Toolが役に立つでしょう。キャンペーンのトピックを決め、オーディエンスと予算を設定すれば、あとはツールにお任せです。より詳しい流れはこちらの記事をご覧ください。
ぜひKeyword Magic Toolを活用して、様々なキーワードやトピックスを探索してみてください。
キーワード調査の方法についての結論
この記事では、とりわけキーワード調査の様々な側面に焦点をあて、事例をご紹介しました。
結論としては、SEOに最適化されたコンテンツをつくるために、以下の点を考慮してKeyword Magic Toolを活用しましょう。
- ボリュームが最も大きいキーワードをタイトルや見出しに配置する
- ロングテールキーワードは良い結果につながる
- 本文中でキーワードを過剰に使わないようにする
- キーワードをディスクリプション (meta description) に入れる
- 画像をキーワードに対して最適化する