株式会社JTB

SEMrush導入企業インタビュー
インハウスSEOの体制をつくり
デジタルマーケティングを推進

株式会社JTBでは2018年4月より組織体制を一新し、顧客の文脈に沿った最適なコミュニケーションを実現するため、データドリブンなデジタルマーケティングに力を入れています。それ以前にも様々な施策に取り組んできましたが、主なマーケティング施策は広告などペイドメディアが中心だったといいます。その中で、なぜSEOに取り組むことになったのか?またどのような施策を実施してきたのでしょうか?インハウスSEOの体制を構築するまでの過程を、Web販売部にてSEOの指揮を取っている谷口様、相原様に伺いました。

インタビュー協力:
Web販売部 営業管理部データサイエンス課 SEO/SNSチーム 統括 谷口 浩子 様
Web販売部 営業管理部データサイエンス課 SEO/SNSチーム SEO担当 相原 將人 様

ミッションは、顧客の文脈に寄り添ったコミュニケーション
御社では2018年からデジタルマーケティングの戦略として、『データドリブン』を掲げていますが具体的にどのような施策なのでしょうか?

谷口氏:従来から、マーケットインで顧客データに基づいた施策が必要だ、ということは議論されていました。しかし、それを実行するための組織作りが追いついていない状況でした。そこで、改めて2018年4月に、当時社外からジョインした福田を筆頭に「データサイエンスセントラル」が立ち上げられ、事業改革の中核としてデータドリブンを実現するための体制づくりが進められてきました。

この背景には、顧客の文脈に寄り添ったコミュニケーションを実現したい、という想いがありました。我々が取り扱う「旅行」という商材において、顧客の行動は複雑です。まず、検討期間が長く、複数回の検討段階を経て購買に至ります。また、旅行の頻度もそう多くはないため、休眠顧客や離反顧客の判定もつきにくい、などの特徴があります。

そして、何よりも重要なポイントは、顧客が購入に至るまでのストーリーが多様である、という点です。顧客は必ずしも機能的な部分だけでなく、情緒的な部分も踏まえて意思決定します。したがって、顧客に弊社を選んでもらうためには、複雑なストーリーを捉え最適な旅行の提案ができなければなりません。

そこで、まずはデータ基盤の整備からはじめ、分析を質的・量的の二軸で行っています。

質的分析では、数値には明確に現れにくい顧客のインサイトから、コンテキストを探ります。一方で、量的分析では、購買検討ユーザーを捉え、コンバージョンを最大化できるように施策を検討します。分析結果から、One to Oneのマーケティングをプランニングし、広告やSEO等の具体的な施策に落とし込むというルーティンを構築しています。

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広告に依存しない集客を実現するために
その中で、SEOはどのような位置づけになっているのでしょうか?

谷口氏:データドリブンを実現する上で、改めてSEOの必要性を認識し、注力しています。以前の弊社のデジタルマーケティングでは、主に広告などペイド施策に注力していました。一方、当時からオーガニック検索経由の流入は一定規模あったものの、SEOなどノンペイド施策に組織的に取り組めていないという課題がありました。加えて、広告は年々CPAが高騰する傾向にあったため、コスト面でもSEOに対する期待が高まっている状況でした。

最終的な契機になったのは、2018年4月頃にWeb販売部としてOne to Oneマーケティングをミッションに掲げたことです。あらゆるユーザーに対して最適な情報を届けるためには、検索流入する顧客にも抜け漏れなく魅力的なコンテンツを提供する必要がありました。個人的にもそれまでの経験上、SEOにしっかりと取り組めば、ウェブサイトへの流入を増やせる余地が十分にあると考えていました。同じころ、ちょうどウェブサイトのリニューアルとタイミングが重なったこともあり、そこから本格的にSEOの施策を実施しています。

インハウスのSEO体制が必要だった理由
SEMrushはいつ頃から利用されていますか?

谷口氏:2019年からです。SEMrushを利用するきっかけは、SEOを社内で運用できる体制を構築するためでした。

先述の通り、サイトをリニューアルしたタイミングで改めてSEOに注力し始めたのですが、まだ社内に十分な知見が蓄積されていなかったため、外部のコンサルタントの力を借りることにしました。彼らと一緒にサイトの課題を洗い出し、具体的な施策を企画していったのです。しかし、その過程でいくつか問題点が浮き彫りになりました。

それは、我々とコンサルタントとの間にギャップが埋まれる、ということでした。

ギャップについては知識面とリソース面があります。前者については、当時は弊社内に十分なSEOの知見が不足していたことから、コミュニケーションがずれてしまう事がありました。折角、施策のアイディアをいただいても、それを我々が理解し咀嚼するのに時間がかかってしまった、というイメージです。

後者については、施策の優先順位付けをする中でズレが発生するケースがありました。例えば、SEOの観点で影響度が大きく、できるだけ早く着手したほうが良い施策があったとします。しかし、いざ実行することを考えると、そう簡単に着手できない事情がありました。弊社サイトは我々のようなWeb担当者だけでなく、各事業部や関連会社、外部の制作会社が複雑に絡み合っています。そのため、あるべき論としてやるべき施策も、現実的なリソースを考えて優先づけをする必要があり、ここについては弊社内できちんとコントロールする必要がありました。

そのため、外部に依存せず、きちんと社内にノウハウを蓄積し、施策を検討してPDCAを回すことが出来る、SEOの体制づくりが必要だと考えました。そして社内のレベルが上がれば、もっと外部の力を活用できるようになるだろうと思っていました。

そこで、SEOのノウハウを補完し、自分たちである程度SEOを進められるようにするため、SEMrushを導入しました。

テクニカルSEOの基本を徹底して実施
SEOについては具体的にどのような施策を進められたのでしょうか?

谷口氏:まずはテクニカルSEOの施策から着手しました。先述の通り、SEOに本格的に着手し始めたのがちょうどサイトリニューアルをしたタイミングでした。また、コンサルタントにも入ってもらっていたので、改めてサイトとしてあるべき姿を想定して、改善すべき事項を整理していきました。加えて、チームとしても改めてGoogleの品質評価ガイドラインなどを見直すなどして、本当に基本的な部分から施策を実施しました。

一例として、クローラビリティの最適化があります。サイトリニューアルのタイミングでありがちな、リダイレクトの抜け漏れや内部リンクの甘い部分を洗い出し、最適化などを実行しました。また、一部コンテンツは画像が中心となっていたので、適切なテキストを入れてコンテンツをリッチにするなどの施策も行いました。

テクニカルSEOの点では、SEMrushはどのように利用されているのでしょうか?

谷口氏:SEMrushにはSite Auditというツールがあり、サイトのエラーを発見できるようになっています。コンテンツの重複やタイトルの抜け・重複、画像のalt属性抜けなど、ヒューマンエラーが発生しやすい箇所を特定できるので、重宝しています。

エラー以前にも、ページをくまなくクロールしてサイト構造を明らかにしてくれるのは、実務上で助かっているポイントです。弊社のような大規模サイトになると、すべてのページを漏れなく把握するのは容易ではありません。私たちのチームの知らないところで、SEOに最適化されていないページがアップされているケースも稀にあります。その点、Site Auditを回せば、このようなページも発見でき、改善事項が分かるのでサイト運用に役立っています。

また、メンバーとコミュニケーションをとる際にSEMrushのエラー内容を共有すれば、共通言語として活用できます。弊社の場合、サイトの中でも社内で修正できる部分は社内で、協力会社と開発している部分は協力会社に修正事項をフィードバックする必要があります。スムーズに動いてもらうためには、修正すべき点を理解してもらわなくてはなりません。そういった時に、SEMrushでエラーを一緒に確認することで、共通理解をつくり、より生産的なディスカッションができていると思います。

他にも、サイトの問題点は頭では分かっていても、腹落ちしにくいことがありますが、SEMrushでは明確にエラーとして検出されるので、「修正しなければいけない」という後押しにもなっています。

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Site AuditではテクニカルSEOの問題点がレポートされる

『JTBらしいコンテンツ』を求めて
コンテンツの面では何か施策を実施されていますか?

相原氏:多種多様な施策を実施していますが、企画段階では SEMrushのPosition Trackingを活用し、現状を把握するところから始めます。Position Trackingには、弊社の顧客にニーズがありそうなキーワードをまとめて登録して、毎日の順位変動をトラッキングしています。この中から、順位が上がりきっていないが、一定の検索ボリュームや潜在的なニーズがあり、順位が上がった時のインパクトが大きいキーワードを見つけて、コンテンツの改善や企画を練ります。

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コンテンツを作成する際には、どのような工夫をされているのでしょうか?

相原氏:特に重要と考えているのが『JTBらしさ』をコンテンツで表現することです。そのため、いくらキーワードの検索ボリュームがあるからと言って、安易に施策の対象にすることはありません。あくまで、我々の独自性が出せるトピックスに絞っています。

成果があった一例として、ランキング系のコンテンツがあります。以前、ランキングのようなコンテンツ群は、それほど注力していませんでしたが、価値のあるページを作れそうだと判断し、コンテンツ作成に着手しました。

例えば、「宿」のランキングコンテンツを作るにあたっては、いくつかの工夫をしました。一つ目は、弊社ならではの情報を加えること。弊社内の売上データやアンケートデータ等、オリジナルの1stパーティーデータを用いて独自のランキングに反映しています。二つ目は、顧客の要望を踏まえたページにすること。例えば、弊社を選んでいただく顧客ニーズには、旅館や温泉宿をお求めいただくことが多い傾向にあるため、顧客の嗜好とマッチするようにコンテンツ群を構成しています。最後に、ホテル以外の情報も掲載すること。ここには長年、店頭で対面して「旅」を販売してきた弊社の強み・リソースをうまく転換させながら、観光情報などの付加的な情報を加えるような取り組みを始めています。実際、コンテンツをリリースしてから数か月が経過していますが、確実に上位に入ってきているので、価値のあるコンテンツを作れていると実感しています。

コンテンツを作成した後は、同じくPosition Trackingで順位をトラッキングして成果を確認しています。Position Trackingの良い点として、キーワードにタグ付けができる、ということがあります。コンテンツ群や施策の実施タイミングなどに応じてタグをつけて、コンテンツ群別の順位や施策を実施したキーワードの順位変動を切り分けて分析しています。

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見慣れたランキングページでもJTBならではのコンテンツが用意されている

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Position Trackingでターゲットキーワードを定点観測する

谷口氏:ここは海外製のツールならでは、と感じるのですが、Position TrackingではGoogleのアルゴリズムアップデートあった際にグラフ上に通知されたり、SERPの機能(強調スニペットやローカルパックなど)の情報を収集することができます。このように、検索アルゴリズムのトレンドにも早くキャッチアップしてくれるのは、SEMrushを使うメリットの一つだと感じています。

SEOに組織として取り組んでいく
今後、注力したい施策はありますか?

相原氏:引き続き質の高いコンテンツを作っていきたいということと、テクニック的な面では構造化マークアップなどにもしっかり対応していきたいと思っています。将来的には、SEMrushにも構造化に活用できる機能が出てくるといいなと思っています。

谷口氏: SEOの面では、組織として継続的に施策を運用できる体制づくりを進めていきたいと思っています。例えば、現状でもSite Auditにはエラーが出てきますが、そもそもエラーが検出されないくらいキレイなサイトが理想的です。そのためにはチーム全体でレベルアップが必要なので、SEMrushを社内の啓蒙にも使っていきたいと考えています。

(了)

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株式会社JTB
https://www.jtb.co.jp/
事業内容:旅行事業、地域交流事業、IT関連事業
従業員数:29,153名 (グループ全体 2018年3月31日現在)